江戸時代前期の一六五九年に大衆向けの読み物として出版された『太平記大全』という本があります。室町期の軍記が中心なので、一次史料ではありませんが、地理的な表記の誇張や作為をもった改変などは考え難いのと、地理に関しては、大衆もそのように認識していた可能性が大であることから、一級史料と考えてよいと思います。原本が四千ページを超えるので探すのが大変でしたが、常陸の軍勢などが「名古曽ノ関打越ヘテ岩城郡ニ至ル」と明確に出ていました。
これは、勿来の関がいわきだったことを示す、決定打とも思われるもので、見付けた時は、深夜でしたが大声で家族を起こし喜び合いました。