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5. 「なこその関」の漢字がたくさんありますがどれが正しいのですか。

平安時代初期までは、菊多剗と言われていました。その後、和歌や随筆に「なこそのせき」として登場するようになると、和かなで名古曽(曾)、奈古曽、那古曽、名のり読みで名社などがあります。やがて江戸時代に一作(一工夫)、仮借(かしゃ)が流行ると、水戸藩関係者によって莫来、莫越、波越、勿来等々の字句が創作されました。現在は、「勿来」を用いています。

勿来は文法からいえば「なこそ」でなく「なくそ」あるいは「なきそ」あるいは「なこえそ」と読むのが正しいなどという方もいるようですが、そもそも一作、仮借、洒落(しゃれ)で付けた漢字なので、本来はひらがなか、和かなで書くのが正しいと言えます。

しかし、長久保赤水の平潟洞門の碑や『東奥紀行』などによって、少しく定着しその後、今では日常生活に染み渡っているので、「来る勿れ」の勿来でもよいのではないでしょうか。ちなみに当研究会のキャッチフレーズは、「うぇるかむ勿来の関へ」です。 ウィキペディアで「勿来」と「なこそ」を別物にして扱っていますが、史料から分かる通り、どのように書こうが「なこその関」は、いわきにしかありません。