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1. 勿来関研究会設立の主旨をお聞かせください。
一冊の本との出会いが、人生を変えることがあります。佐藤一著『勿来関と源義家』がそれでした。資料の豊富さ、和歌に精通していること、実地調査が数十回であること、 着眼点、分析力がすぐれていること、亡くなられて20年後も多くの教え子たちに慕われていたこと、地域を愛する情熱がほとばしり出ていたこと、地域の人材育成を真に望まれていた教育者であったこと等々が一書の中に満ちていました。ボロボロになっていたこの本を復刻したい。これを唯一の目的として、2020年3月、勿来関研究会がスタートしました。全員歴史も作文も素人でした。全員一先生に会ったこともありませんでした。
読書会を開き、一名の感動を数名で共有するまでになり、いよいよ復刻版に取り掛かりましたが、大きな問題にぶつかりました。始めに序文を御願いした方を始め、いわきのほとんどの郷土史関係者が勿来関利府説の影響を受けていたのです。しばらくの中断の後、利府説の文献を学習しました。又その依書の『奥州名所図会』を史料批判してみました。すると、その書のあちこちがフィクションであることがわかりました。 史料批判せずこのたった1冊を依書として地元の勿来関を捨てていたことがわかりました。当研究会がいわきで初めて、利府説に批判を加えたのです。「やはり勿来関はいわきだった」この思いを多くの方々に伝えなければならない。その時研究会の目的が1つ増えました。その後、勿来関いわき所在を示すいくつもの史料を見付けることができました。
固定観念を破り、発掘調査することを提言します。と同時に先ずは、江戸期の史料からだけでも史跡認定ができることを強くアピールさせていただきます。
ここに勿来関研究会ホームページ、アクセス数 10万達成を記念し微力ながら『勿来関Q&A』をまとめましたので御拝読いただければ、有難く存じます。今後とも地域貢献と人材育成に微志を注ぐ決意ですので御協力の程よろしく御願い申し上げます。
最後に、当研究会名誉顧問の櫛田一男様が昨年9月7日、逝去されました。本著を御宝前に捧げ追悼の意を表します。