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20.西行法師の歌に「あづまじや しのぶのさとにやすらいで なこそのせきを こえぞわづらふ」(一二三五年)がありますが、「しのぶの里」とは、どこのことですか。

この歌は、勿来関をいわきからよそに持って行きたい人がよく出すようですが、それは間違いです。

新勅撰和歌集(一二三五年)にありますが、その前後の和歌を見ると「忍ぶ恋」を主題にして歌会で歌われたものであることが分かります。したがって、「しのぶの山」「しのぶの浦」なども出てきます。

しのぶを福島市の信夫にして、名古曽をその北方にしたい人たちの間違った解釈です。このことを指摘されたのが、元常盤学園女子短期大学の桐原徳重氏でした。見事です。「しのぶの浦」など福島市にはありませんね。

『新勅撰集』のこの歌の前を見ると、「刑部卿頼輔(ぎょうぶきょう よりすけ)、歌合せしはべりけるに、詠みてつかはしける忍ぶ恋の歌、皇太后宮大夫俊成」とあるのです。

以上からお分かり頂けると思いますが、「しのぶの里」とは、特定の場所を指すものではありません。